退職勧奨に関する進め方

企業法務

退職勧奨は、従業員に対して退職を催すための方法で現在の日本の法令下で従業員を退職させるための唯一の方法ともいっても過言では無いくらいの手段です。
そもそも退職勧奨とは会社側から退職に向けて、従業員を説得し合意を取り付けるプロセスになります。
つまり従業員の適切な合意が無ければ成り立たないという点が最も重要なポイントであり、円満解決でなければなりません。

企業側に責任が発生するケースも

もし仮に円満に解決できずにトラブルとなり裁判所で地位確認の訴訟が提起された場合、継続的に従業員を雇わなければならなかったり慰謝料を支払わなければならなくなったりするのです。
例えば特定の従業員を部屋に呼び出して退職面談を継続しているなどの対応は「退職を強要した」という解釈をされることも想定され、もし仮にそれを裁判所が認定してしまうと企業側に責任が発生します。
ちなみに法律上では退職勧奨についての前提条件を設ける定めは無く、成績が悪い従業員や服務規律を守らない重要印など従業員側にもd内がある場合は勧奨すること自体は違法性がありません。
とはいえ力関係でいえば雇う側のほうが雇われる側よりも圧倒的に強いということを鑑みると、相当悪質な場合にしか適用されないのが事実です。
教育や指導など会社として適切に対応してもなお改善が見込まれないという事実が必要になるということなので、その道のりは生半可なものでは無いことが想像に難くありません。
とはいえこのやり方が正しいフローで有り、これらの適切な対応を取っていれば裁判所側も適法と認められるのです。

人員削減について

一方で会社側の業績が悪い場合の対応としては、人員削減という方法が採用されます。
この場合従業員個々に火があるというわけでは無く、会社側の都合により経営を持ち直したいというものになります。
主に不採算事業の廃止に伴うものや、業務効率化・合理化のための目的として行われます。
一方で解雇される側にとっては今後の生活に大きな影響を及ぼすことが想定されるため簡単に行うことは出来ず、行ったとしても適切に対処しなければトラブルの原因になることは言うまでもありません。
この場合に一般的に用いられる手段として、採用の停止や希望退職の募集などがあります。

採用の停止

採用の停止は新たに雇い入れる従業員を減らすことで自然減を狙うという方法で、最も従業員側にとって痛みが少ないやり方です。
とはいえデメリットも無いわけでは無く、会社自体の新陳代謝が阻害され高齢化が進みます。
高齢化が進んでしまうとイノベーションや改革が行われにくくなるので、企業成長を阻害するという側面もあるためベストな対応であるかは一概に言えないのです。
ほかにも派遣従業員や期間の定めのある契約社員などを、契約更新しないという方法ありますがその場合も数字的に限られているというデメリットもあります。

希望退職者の募集

それでも改善しない場合に取られる方法が、希望退職者の募集になります。
これは全社で条件を満たす従業員に対して募集をかけ、従業員の希望で退職を行うという方法です。
この場合従業員に対して辞めることのメリットも提示するかどうかで募集の数が変わってくることがあり、そのあたりの設計がっても重要なポイントです。
一例として退職の際に、退職金を積み増しすることや再就職のための支援を付けるといった方法になります。
条件としては新陳代謝が目的であれば40~50歳以上の従業員というものや、入社5年目以上が対象など一定の合理性を持ったものであれば付与できます。
募集した従業員は担当者と面談したうえで手続きを行うプロセスが一般的で、条件があっていればそのままスムーズに進みます。
最終的には労使が合意書を取り付けて、従業員は退職していきます。

「会社都合」にするのか「自己都合」にするのか

この条件設定やメリットの付け方によって募集する人員が増えたり減ったりするのは言うまでも無く、企業側の設計の重要性が試されると言っても良いでしょう。
ほかの襟を上げると「会社都合」にするのか「自己都合」にするのかでも従業員から見れば、大きく変わってきます。
退職後「会社都合」であれば、雇用保険が早めに適用されるため保険金の支払いがスムーズになるというメリットがあるからです。
企業側から見れば出来るだけ体力のあるうちに行うほうが様々なメリットを退職する従業員に与えることができる一方、すでに経営が悪化した場合だと提供できるものが少なくなるという特徴があります。
つまり経営者の手腕が問われるというと言っても過言では無い、難しい決断であることは間違いありません。

まとめ

ただ、このまま業績が悪化していくと最悪の場合倒産という憂き目にあうリスクが高まっていくのは事実です。
そうなってしまうと負債によって裁判所が処理しますが、多くの場合従業員は解雇されてしまいます。
そうなる前に早めに着手を検討することが、経営者にとっても雇われる側にとってもメリットが高いのです。
上場企業の多くが行うのは、これが背景にあるとも言えます。

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