懲戒処分の種類と内容

企業法務

懲戒処分は使用者の企業が労働者の従業員に対して、企業の秩序を乱す行為を制裁する目的で行われる処分です。
比較的軽微なものを挙げると、いわゆる遅刻や無断欠勤が対象となります。
当然ながら処分の方法は1つではなく、何を処罰するかによって変わってきます。
懲戒処分の基本は、1つのことに対して処分は1回のみ、客観的に処分が妥当と考えられる理由があることとなります。
つまり処罰は二重に行われることはなく、妥当な理由がなければ処分されないことを意味します。

懲戒処分の種類

懲戒処分には大きく分けて、戒告から懲戒解雇までの7つに分類することができます。

戒告

戒告は口頭での厳重注意のことで、反省文などの書類の作成が求められることはないです。
とはいえ戒告も処分の1つに違いありませんし、これは最も軽いというだけで、更に重い処分に繋がる入り口なのは確かです。
ちなみに、戒告は口頭だけとは限らず、文章で厳重注意が行われることもあります。
注意で済む段階なので、注意された内容を理解して反省をしたり、再発を防ぐように努力すればそれ以上の処分を受けることは避けられるでしょう。

譴責

譴責は戒告の1つ上の段階で、始末書の作成と提出が求められる処分となります。
将来を戒める目的で始末書の提出が求められますから、拒否したり提出を先送りにするようなことがあれば、更に厳しい処分が待っています。
始末書を提出するのは一般的には直属の上司で、反省や謝罪といった内容を盛り込んで提出します。
しっかりと反省しているか、再発を防ぐ意思が見込めるか判断されれば、更なる処分がくだされることはないです。
もし始末書の提出を拒否すると、昇給に響くことになりますから、今後も会社で働き続けるつもりであれば忘れず早めに提出したいところです。

減給

減給は支払われる賃金の一部が差し引かれる処分で、制裁の意味合いがある懲戒処分です。
減給の幅は労働基準法で定められており、第91条に1回の減給額は平均賃金の1日分の半額を超えないとあります。
加えて、総額が一賃金支払期における賃金総額の10分の1を超えてはいけないという定めも存在します。
つまりこれらの範囲内であれば、減給されても文句はいえないわけです。
余談ですが、欠勤や遅刻は賃金を差し引いても欠勤控除扱いになるので、減給とはならないです。

出勤停止

出勤停止は文字通り出勤できなくなる処分で、暴力を振るったり、企業に損害が及ぶ機密情報の紛失などが該当します。
転勤や業務命令を拒否した場合にも、この出勤停止処分がくだされる可能性があります。
出勤停止には期間があって、一般的には1週間以内ですが、長くてもせいぜい10日から15日くらいで処分が解かれます。
停止期間は法律に定めがないので、企業の判断に委ねられますが、処分の対象や内容と釣り合いが取れる期間の設定が求められます。
この出勤停止は出社できないだけでなく、賃金が発生しないことも処分として効果を発揮します。

降格

降格は役職だったり職位が引き下げられるもので、予め就業規則に記載が必要です。
逆にいえば、就業規則に明記されていない降格処分は不可能で、誰かがその時の判断で簡単に決められるものではないといえます。
降格すると当然ながら給与も減るので、期間が限定される出勤停止よりも長い目で見ると影響が大きいです。
その為、出勤停止の1つ上に位置づけられる厳しい懲戒処分となっているわけです。

論旨退職

論旨退職は論旨解雇ともいいますが、一定期間の間に退職願の提出を勧告して、その提出があった場合に退職扱いとする処分方法です。
提出がなければ懲戒解雇となるので、解雇に相当するケースにおいて、情状酌量の余地がある時にくだされる処分です。
自主退職であれば30日分以上の賃金の解雇予告手当が受け取れますし、退職金も支払われることになりますが、懲戒解雇にはなくて再就職にも響くので最も重いです。

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